外側に正方形がある定理
ここでは、正三角形ではありませんが、三角形や四角形の外側に正方形がある図形の性質をまとめています。
(1)三角形の外側に正方形がある場合
[定理5−1]
図のように△ABCの外側にAB、BC、CAを一辺とする正方形ABDE、CBFG、ACHIがある。
このとき、
(1) AG=BH
(2) AG⊥BH
[証明]
△CAGと△CHBにおいて、
CA=CH、CG=CB、
∠ACG=∠HCB=∠ACB+90°
よって、△CAG≡△CHB
AG=BH
また、この二つの図形は点Cを中心に90°回転しているので、AG⊥BH
同様に、BI=CE、CD=AF、BI⊥CE、CD⊥AF となります。
[定理5−2]
図のように△ABCの外側にAB、BC、CAを一辺とする正方形ABDE、CBFG、ACHIがある。
それぞれの正方形の中心をP、Q、R、ABの中点をMとするとき、
(1) MR=MQ
(2) MR⊥MQ
[定理5−3]
図のように△ABCの外側にAB、BC、CAを一辺とする正方形ABDE、CBFG、ACHIがある。
それぞれの正方形の中心をP、Q、Rとするとき、
(1) PR=AQ
(2) PR⊥AQ
[証明]
ABの中点をMとします。
△MPRと△MAQとにおいて、
[定理5-2]より、MR=MQ、MP=MA
∠PMR=∠AMQ=∠AMR+90°
よって、△MAQ≡△MPR
PR=AQ
各辺が点Mを中心に90°回転しているので、PR⊥AQ
[別解]
△APRと△AECにおいて、
AP:AE=1:√2、AR:AC=1:√2
よって、AP:AE=AR:AC
∠PAR=∠EAC=∠BAC+90°
△APR∽△AEC(相似比1:√2、点Aを中心に45°回転)
同様にして、△CAQ∽△CIB(相似比1:√2、点Cを中心に45°回転)
EC=BIより、PR=AQ、EC⊥BIより、PR⊥AQ、
ちなみに、EC=√2PR
[定理5−4]
図のように△ABCの外側にAB、BC、CAを一辺とする正方形ABDE、CBFG、ACHIがある。
それぞれの正方形の中心をP、Q、Rとするとき、
三直線、EC、BI、AQは一点で交わる。
[証明]
ECとBIの交点をSとします。
∠BSC=90°、∠BQC=90°より、四角形SBQCは円に内接します。
∠BSQ=∠BCQ=45°
また、∠CSI=90°、∠IAC=90°より、四角形ASCIは円に内接します。
∠ASI=∠ACI=45°
したがって、三点A、S、Qは一直線上にある。
[定理5−5]
図のように△ABCの外側にAB、BC、CAを一辺とする正方形ABDE、CBFG、ACHIがある。
線分AE、AIを二辺とする平行四辺形をEAIJとするとき、
(1) BC=JA(△ABC≡△IJA)
(2) BC⊥JA
[証明]
△ABCと△IJAにおいて
AB=IJ、AC=IA
∠BAI=360°-∠EAB-∠IAC-∠EAI=180°-∠EAI
∠JIA=180°-EAI
よって、∠BAI=∠JIA
△ABC≡△IJA
BC=JA
対応する辺は90°で交わっているので、BC⊥JA
[定理5−6]
図のように△ABCの外側にAB、BC、CAを一辺とする正方形ABDE、CBFG、ACHIがある。
線分AE、AIを二辺とする平行四辺形をEAIJとするとき、
(1) RJ=RB
(2) RJ⊥RB
[証明]
△ARJと△CRBおいて、
[定理5-5]より、AJ=CB、∠IJA=∠BCA、
AR=CR
∠JAR=∠IJA+45°
∠BCR=∠BCA+45°
よって、∠JAR=∠BCR
△ARJ≡△CRB
RJ=RB
対応する辺が90°で交わっているので、
RJ⊥RB
[定理5−7]
図のように△ABCの外側にAB、BC、CAを一辺とする正方形ABDE、CBFG、ACHIがある。
辺BCの中点をMとするとき、
AM⊥EI
[証明]
AE、AIを二辺とする平行四辺形をEAIJ、
JAとEIの交点をNとします。
△ABMと△EANおいて、
AB=EA
NはJAの中点より、BM=AN
[定理5-5]より、△ABC≡△EAJより、
∠ABM=∠EAN
△ABM≡△EAN
対応する辺が90°で交わっているので、
AM⊥AN
すなわち、AM⊥EI
[定理5−8]
図のように△ABCの外側にAB、BC、CAを一辺とする正方形ABDE、CBFG、ACHIがある。
線分AE、AIを二辺とする平行四辺形をEAIJ、CG、 CHを二辺とする平行四辺形をHCGKとするとき、
(1) 三点J、R、Kは一直線上にある。
(2) RJ=RK
[証明]
[定理5-6]より、BR=RJ、BR⊥RJ、BR=RK、BR⊥RK
よって、三点J、R、Kは一直線上にあり、RJ=RK
(2)四角形の外側に正方形がある場合
[定理5−8]
図のように四角形ABCDの外側にAB、BC、CA、DAを一辺とする正方形ABEF、CBHG、CDIJ、DAKLがある。
それぞれの正方形の中心をP、Q、R、Sとするとき、
(1) PR=QS
(2) PR⊥QS
[証明]
対角線ACの中点をNとします。
△PNRと△QNSおいて、
△ABCと△DACで、[定理5-2]使って、
PN=QN、RN=SN
∠PNR=∠PNS+∠SNR=∠PNS+90°
∠QNS=∠PNS+∠PNQ=∠PNS+90°
よって、∠PNR=∠QNS
△PNR≡△QNS
点Nを中心に90°回転しているので、
PR⊥QS
[定理5−9]
図のように四角形ABCDの外側にAB、BC、CA、DAを一辺とする正方形ABEF、CBHG、CDIJ、DAKLがある。
AF、AKを二辺とする平行四辺形をFAKM、DL、DIを二辺とする平行四辺形をLDINとするとき、
(1) CM=NB
(2) CM⊥NB
[証明]
△SMCと△SBNにおいて、
△MKS≡△BASより、MS=BS、MS⊥BS
△NLS≡△CDSより、NS=CS、NS⊥CS
∠MSC=∠BSN=∠BSC+90°
△SMC≡△SBN
よって、CM=NB
対応する辺が90°に交わっているので、
CM⊥NB
※△ABDに[定理5-6]を適用して、
MS=BS、MS⊥BSを求めてもよい。
[定理5−10]
図のように四角形ABCDの外側にAB、BC、CA、DAを一辺とする正方形ABEF、CBHG、CDIJ、DAKLがある。
それぞれの正方形の中心をP、Q、R、Sとし、 AF、AKを二辺とする平行四辺形をFAKM、DL、DIを二辺とする平行四辺形をLDINとするとき、三直線、CM、BN、QSは一点で交わる。
[証明]
CMとNBの交点をTとします。
[定理5-9]より、∠MTB=90°
△ABDに[定理5-6]を適用して、∠MSB=90°、MS=BS
よって、四角形MSTBは円に内接し、
∠MTS=∠MBS=45°
また、∠BQC=90°、∠BTC=90°より四角形BQCTは円に内接するので、
∠CDQ=∠CBD=45°
したがって、三点S、T、Qは一直線上にあり、三直線、CM、BN、QSは一点で交わる。
[定理5−11]
図のように四角形ABCDの外側にAB、BC、CA、DAを一辺とする正方形ABEF、CBHG、CDIJ、DAKLがある。
それぞれの正方形の中心をP、Q、R、Sとし、 AF、AKを二辺とする平行四辺形をFAKM、DL、DIを二辺とする平行四辺形をLDINとする。線分MB、NCの中点をT、Uとするとき、
(1) PR=TU
(2) PR//TU
[証明]
△SBCにおいて、
MS=BS、∠MSB=90°なので、辺SBを一辺とする正方形(中心はT)
NS=CS、∠NSC=90°なので、辺SCを一辺とする正方形(中心はU)
と考えると、[定理5-3]よりTU=SQ、TU⊥SQ
[定理5-8]より、PR=SQ、PR⊥SQ
よって、PR=TU、PR//TU