(2)キーペルト点
(フェルマー点、ナポレオン点、垂心、重心の関連性)
[定理2-1][第一ナポレオン点]
△ABCの外側に正三角形ABD、BCE、CAFをかき、その重心を、それぞれ、P、Q、Rとし、PCとAB、QAとBC、RBとCAの交点を、それぞれ、L、M、Nとするとき、
PC、QA、RBは1点で交わる。
[証明]
△APCと△BPCの面積の比は、高さが共通なので、底辺の比にひとしい。
AL:LB=△APC:△BPC
=1/2・AP・ACsin∠PAC:1/2・BP・BC・sin∠PBC
AP=BPより、
=bsin(A+30°):asin(B+30°)
同様にして、
BM:MC=csin(B+30°):bsin(C+30°)
CN:NA=asin(C+30°):csin(A+30°)
よって、
AL/LB・BM/MC・CN/NA=bsin(A+30°)/asin(B+30°)
・csin(B+30°)/bsin(C+30°)・asin(C+30°)/csin(A+30°)
=1
チェバの定理の逆より、PC、BR、QAは1点で交わる。
※補足
正三角形を△ABCの内側にかくとき、同様にPC、BR、QAは1点で交わる。(第二ナポレオン点)
sin((A+60°)等にかえると、第一フェルマー点の場合の証明に、
sin(A-60°)等にかえると、第二フェルマー点の場合の証明になります。
さらに、
sin(A+θ)等を考えると、
θ=0のとき、重心
θ=90°のとき(無限遠点)、垂心
θ=-∠A等のとき、頂点A等に交わることになります。
したがって、
Pを辺ABの、Qを辺BCの、Rを辺CAの垂直二等分線上に、
∠BAP=∠CBQ=∠ACR=θになるようにとるとき、PC、BR、QAは一点で交わり、
θの変化とともにひとつの曲線をえがきます。
第一第二ナポレオン点、第一第二フェルマー点、重心、垂心、頂点A、B、C
はこの曲線上(双曲線)にあることになります。
[定理2−2]キーペルト点
△ABCの外側に各辺を底辺とし、定角θの二等辺三角形△APB、△BQC、
△CRAをかくとき、PC、BR、QAは一点で交わる。
[定理2−3]フェルマー点、ナポレオン点、垂心、重心の関連性
第一第二ナポレオン点、第一第二フェルマー点、重心、垂心、頂点A、B、Cはひとつの曲線上にある。
キーペルト点Kの三線座標を求めてみる。
辺ABとPC、BCとQA、CAとRBの交点をそれぞれ、L、M、Nとします。
BM:CM=△ABD:△ADC=csin(B+θ):bsin(C+θ)
AL:BL=△APC:△BPC=bsin(A+θ):asin(B+θ)
△ABMと直線NPCでメネラウスの定理より
AL/LB・BC/CM・MK/KA=1から、
bsin(A+θ)/asin(B+θ)・{csin(B+θ)+bsin(C+θ)}/bsin(C+θ)・MK/KA=1
MK/KA=absin(B+θ)sin(C+θ)/bsin(A+θ){csin(B+θ)+bsin(C+θ)}
AM:MK
=asin(B+θ)sin(C+θ)+bsin(C+θ)sin(A+θ)+csin(A+θ)sin(B+θ)
:asin(B+θ)sin(C+θ)
Aから辺BCへの垂線の長さは、S/a
Kから辺BCへの垂線の長さは、
asin(B+θ)sin(C+θ)/{asin(B+θ)sin(C+θ)+bsin(C+θ)sin(A+θ)+csin(A+θ)sin(B+θ)}・S/a
よって、キーペルト点Kの三線座標は、
(sin(B+θ)sin(C+θ)、sin(C+θ)sin(A+θ)、sin(A+θ)sin(B+θ))
=(1/sin(A+θ)、1/sin(B+θ)、1/sin(C+θ)
[定理2−4] キーペルト点の三線座標
キーペルト点の三線座標は、
(1/sin(A+θ)、1/sin(B+θ)、1/sin(C+θ))
特に、
θ=60°のとき、第一フェルマー点
θ=-60°のとき、第二フェルマー点
θ=30°のとき、第一ナポレオン点
θ=-30°のとき、第二ナポレオン点
θ=90°のとき、垂心
θ=0°のとき、重心
なので、次の定理がえられる。
[定理2−5] 各点の三線座標
第一フェルマー点の座標、
(1/sin(A+60°)、1/sin(B+60°)、1/sin(C+60°))
第二フェルマー点の座標、
(1/sin(A-60°)、1/sin(B-60°)、1/sin(C-60°))
第一ナポレオン点の座標、
(1/sin(A+30°)、1/sin(B+30°)、1/sin(C+30°))
第二ナポレオン点の座標、
(1/sin(A-30°)、1/sin(B-30°)、1/sin(C-30°))
垂心の座標、
(1/cosA、1/cosB、1/cosC)
重心の座標、
(1/sinA、1/sinB、1/sinC)
また、
x=1/sin(A+θ)、y=1/sin(B+θ)、z=1/sin(C+θ)
から、θを消去すると、
sin(B-A)・xy+sin(C-B)・yz+sin(A-C)・zx=0
または、ab(a²-b²)xy+bc(b²-c²yz+ca(c²-a²)zx=0
[定理2−6] キーペルト双曲線の方程式
キーペルト双曲線の方程式は、
sin(B-A)・xy+sin(C-B)・yz+sin(A-C)・zx=0
または、ab(a²-b²)xy+bc(b²-c²yz+ca(c²-a²)zx=0
(1)ページの定理7から定理9と比べてみると、
等力点の座標が、(sin(A+60°、sin(B+60°、sin(C+60°))に対して、
フェルマー点が、(1/sin(A+60°)、1/sin(B+60°)、1/sin(C+60°))だから、
逆数になっているので、それぞれ、共役な点であることがわかる。
[定理2−7] 共役な点
第一等力点と第一フェルマー点、第二等力点と第二フェルマー点、
外心と垂心、擬似重心と重心はそれぞれ共役な点である。
[定理2−8] 直線と、双曲線の共役
(1)ページの[定理9]の直線とキーペルト双曲線はともに共役である。
目次
第一ナポレオン点
[注]
△PQRをナポレオンの正三角形といいます。
第二ナポレオン点
第一フェルマー点
第二フェルマー点
{注]
この交点を、キーペルト点というそうです。
[注]
この曲線は双曲線だ
そうです。