(7)内心と頂点までの距離・性質


ここでは、内心に関する様々な性質を調べることにより、内心と頂点までの距離から三角形の三辺の長さや、内接円、外接円の半径を求める公式を求めることができます。

[定理11] 内心と頂点の距離から三辺を求める

△ABCの内心をIとします。

AI=x、BI=y、CI=z、のとき、

p=x²y²+y²z²+z²x²、q=xyz、とし

m³-pm-2q²=0 の方程式の解をmとすると

三辺は、

a=√((m+y²)(m+z²)/(m+x²))

b=√((m+x²)(m+z²)/(m+y²))

c=√((m+x²)(m+y²)/(m+z²)) 

で求めることができる。

[定理16] 内心と頂点の距離から内接円の半径を求める

△ABCの内心をI、内接円の半径rとします。

AI=x、BI=y、CI=z、のとき、

内接円の半径rは、

p=x²y²+y²z²+z²x²、q=xyzとすると

2qr³+pr²-q²=0 の方程式の解で求めることができる。

 

また、三辺は、

a=√(y²-r²)+√(z²-r²)

b=√(z²-r²)+√(x²-r²)

c=√(x²-r²)+√(y²-r²) 

で求めることができる。

 

 -以下その証明-

△ABCの内心をIとし、BC=a、CA=b、

AB=cとします。

三辺上に、D、E、P、R、Sを次のよう

に取ります。

AI⊥DE、BI⊥IP、CI⊥IR、IP⊥RS

 

△IBC∽△EIC∽△DBIより、

PC=z²/b、EC=z²/a、IE=yz/a

DB=y²/a、IR=xy/c、IP=xz/b

 

AE=b-z²/a=AD=c-y²/aより

また、AE²=AI²+IE² より

b-z²/a=c-y²/a=√(x²+y²z²/a²)…(1)

c-x²/b=a-z²/b=√(z²+x²y²/c²)…(2)

a-y²/c=b-x²/c=√(y²+x²z²/a²)…(3)

 

(1)+(2)+(3)より

[定理1]

b-z²/a=c-y²/a=√(x²+y²z²/a²)…(1)

c-x²/b=a-z²/b=√(z²+x²y²/c²)…(2)

a-y²/c=b-x²/c=√(y²+x²z²/a²)…(3)

 

(y²-z²)/a+(z²-x²/)/b+(x²-y²)/c=0…(4)

 △IQC∽△PQIより、

IQ=xz²/(b²-x²)、PQ=x²z²b(b²-x²)

同様にして、RQ=x²y²/c(c²-x²)

 

また、IQ:AI=(b+c):a 

IQ=ax/(b+c)=xz²/(b²-x²)

よって、

a(b²-x²)=z²(b+c)…(5)

左右同じなので、bとcを入れ換えて

a(c²-x²)=y²(b+c)…(6)

(5)(6)より

y²(b²-x²)=z²(c²-x²)…(7)

[定理2]

y²(b²-x²)=z²(c²-x²)…(7)

z²(c²-y²)=x²(a²-y²)…(8)

x²(a²-z²)=y²(b²-z²)…(9)

 △IRS∽△EAIより

RS・EA=x²y/c

IS=yzRS/xa

△BIP∽△RSPより

SP=xzRS/yb

IS+SP=IP=xz/bより

RS=x²ya/(x²a+y²b)

よって

EA=(x²a+y²b)/ac…(10)

 

また

EA+EC=bより

x²a+y²b+z²c=abc…(11)

[定理3]

x²a+y²b+z²c=abc…(11)

同様に

AD=(x²a+z²c)/ab

AE=ADより

x²ab+y²b²=x²ac+z²c²…(12)

同様に

y²bc+z²c²=y²ab+x²a²…(13)

z²ca+x²a²=z²bc+y²b²…(14)

(12)×y²z²+(13)×x²z²+(14)×x²y²より

x⁴(y²-z²)a²+y⁴(z²-x²)b²+z⁴(x²-y²)c²=0…(15)

[定理4]

x⁴(y²-z²)a²+y⁴(z²-x²)b²+z⁴(x²-y²)c²=0…(15)

△BPI∽△RPSより

RP=x²(y²b+z²c)/b(x²a+y²b)…(16)

左右同じなので、bとcを入れ換えて

RP=x²(y²b+z²c)/c(x²a+z²c)…(17)

b(x²a+y²b)=c(x²a+z²c)…(18)

x²a(b-c)=z²c²-y²b²…(19)

これは、(14)と同じ式

(10)と△AIEで三平方の定理より

x²a²c²+y²z²c²=(x²a+y²b)²…(20)

(18)より、a、b、c対称だから

[定理5]

a:b:c:r:s=(y²b+z²c):(z²c+x²a):(y²b+x²a):xyz:abc(後述)…(21)

(17)と(21)から

RP=x²a/bc…(22)

[定理6]

 RP=x²a/bc…(22)

 

 (20)より

(x²a+y²z²)c²=(x²a+y²b)²

(21)より

y²b²+z²x²=z²c²+x²y²=x²a²+y²z²

[定理7]

y²b²+z²x²=z²c²+x²y²=x²a²+y²z²…(23)

(7)(8)(9)はこの式からも導くことができる。

 

また、(12)より

AE=(x²a+y²b)b=(x²a+z²c)c だから

(23)(21)より

aAE=bBP=cCR…(24)

[定理8]

    a・AE=b・BP=c・CR=m(後述)…(24)

 

ちなみに

△IQC∽△PQIより

IC:PI=QC:QI

QP=z²x²/b(b²-x²)

QC=z²b/(b²-x²)

同様に

QR=x²y²/c(c²-x²)

QB=y²c/(c²-x²)

 

Iから辺BCへの垂線の足をHとする。

IB²=BH・BPより

BH=y²bc/(y²b+x²a)、同様に、

PH=x²z²c/b(y²b+x²a)

よって

IH=xyxc/(y²b+x²a)

[定理9]

   (y²b+x²a)/c=mとすると、

  内接円の半径  r=xyz/m…(25)

(21)(25)より

(y²b+z²c)/a=(z²c+x²a)/b=(x²a+y²b)/c=xyz/r…(26)

yb/xz+zc/xy=a/r…(27)

xa/yz+zc/xy=b/r…(28)

xa/yz+yb/xz=c/r…(29)

(27)-(28)+(29)より

yb/xz=(a-b+c)/2r=(s-b)/r…(30

xa/yz=(s-a)/r…(31)

zc/xy=(s-c)/r…(32)

xa/yz+yb/xz+zc/xy=s/r…(33)

よって

(xa/yz)・(yb/xz)・(zc/xy)・(xa/yz+yb/xz+zc/xy)=s(s-a)(s-b)(s-c)/r⁴

=S²/r⁴=s²/r²…(34)

(33)(34)より

(xa/yz)・(yb/xz)・(zc/xy)=abc/xyz=s/r…(35)

(25)より

m=abc/s…(36)

(27)より

a/r=abc/xyz-xa/yz=(abc-x²a)/xyz

よって

r=xyz/(bc-x²)=xvz/(ac-y²)=xyz(ba-z²)…(36)

m=bc-x²=ac-y²=ba-z²…(37)

 

(34)(35)とS=abc/4R(Rは外接円の半径)から

a²b²c²/x²y²z²=(abc/4R)²/r⁴

xyz=4Rr²

m=4Rr

[定理10]

    xyz=4Rr²…(38)

    m=4Rr…(39)

[別解]

r=4RsinA/2sinB/2sinC/2より

r=4Rr/x・r/y・r/z

xyz=4Rr²

 

(37)より

ac=m+y²、ba=m+z²、cb=m+x²

abc=√(m+x²)(m+y²)(m+z²)

よって

a=√(m+y²)(m+z²)/(m+x²)

b=√(m+x²)(m+z²)/(m+y²)

c=√(m+x²)(m+y²)/(m+z²)

[定理11]

 a=√(m+y²)(m+z²)/(m+x²)…(40)

 b=√(m+x²)(m+z²)/(m+y²)…(41)

 c=√(m+x²)(m+y²)/(m+z²)…(42)

(26)より

a=kc、b=ℓcとすると

x²k+y²ℓ=mより、ℓ=(m-x²k)/y²

x²k+z²=mℓより、k=(m²-z²y²)(x²y²+mx²)

y²ℓ+z²=kmでk、ℓを消去して、次の三次方程式を得る。

m³-(x²y²+y²z²+z²x²)m-2x²y²z²=0

[定理12]

 m³-(x²y²+y²z²+z²x²)m-2x²y²z²=0…(43)

 

mを[定理11]から、a、b、cの解を求めることができる。

 

ちなみに

(27)(28)(29)と(25)より

y²/m・b+z²/m・c=a

x²/m・a+z²/m・c=b

x²/m・b+y²/m・c=c

これらより

a:b=(y²+m):(x²+m)…(44)

b:c=(z²+m):(y²+m)…(45)

c:a=(x²+m):(z²+m)…(46)

よって、

a:b:c=1/(x²+m):1/(y²+m):1/(z²+m)…(47)

 

 

[定理13]

 a:b:c=1/(x²+m):1/(y²+m):1/(z²+m)…(47)

 左辺/右辺=√(x²+m)(y²+m)(z²+m)

 

[例題1] 

△ABCでIは内心

AI=√3

BI=CI=1

のとき、

三角形の三辺の長さを求めよ。

 

[解]

(1)より

b=c

(7)より

b²-10=a²-1

(8)より

b²-1=3(a²-1)

a²=6

a=√6

b=2√6/3

 

[別解]

x=√bc(-a+b+c)/(a+b+c)、y=√ca(a-b+c)/a+b+c)、z=√ab(a+b-c)/(a+b+c)

を計算する。

[例題2] 

 

△ABCでIは内心

AI=√10、BI=2、CI=1

のとき、

△ABCの三辺の長さを求めよ。

 

 

[解]

(9)より

5a²-2b²-9=0…(a)

(1)(3)より、cを消去して、

(b²-9)/b=(a²-3)/a

二乗して、

(b²-9)²/b²=(a²-3)²/a²…(b)

(a)を代入して、

a²=Xとおくと、

X(5X-21)²=2(5X-3)(X-3)²

X=6、(9±4√6)/5

B²>9より、a²>21/5より

X=6

a=√6

b=3√6/2

c=2√6

 

[別解]

a=kc、b=ℓcとする。

(4)より

ℓ=3k/(2k+1)…(a)

(13)より

4ℓ+1=4ℓk+10k²…(b)

(a)を代入

12k+(2k+1)=12k²+10k²(2k+1)

(2k-1)(10k²+16k+1)=0

k=1/2

ℓ=3/4

(8)に代入して

c=2√6

a=√6、b=3√6/2

 

一般解

(4)より

ℓ=k(x²-z²)/{(y²-z²)+(x²-y²)k}

(13)より

y²ℓ+z²=y²kℓ+x²k²

(4)を(13)に代入して、kの三次方程式を得る。

 

x²(x²-y²)k³+{x²(y²-z²)+y²(x²-z²)}k²-{z²(x²-y²)+y²(x²-z²)}k-z²(y²-z²)=0…(48)

 

[別解]

(43)より

m³-54m-80=0

(m-8)(m²+8m+10)=0

m=8

定理11より

a=√6、b=3√6/2、c=2√6

 

<参考1>

他の例

x=3、y=√6、z=1のとき

m=9で、a=5√3/3、b=2√3、c=3√3

 

 

<参考2>

x=3、y=2、z=1のとき

三次方程式の解の公式より(二次の項=0の場合)、

x³+px+q=0

u=-q/2+√((q/2)²+(p/3)³)、v=-q/2-√((q/2)²+(p/3)³)

x=³√u+³√v

より、

m=³√((324+i√247971)/9)+³√((324-i√247971)/9

   =7.643298790…

a=2.458997456…

b=3.514968577…

c=4.734977972…

 

<参考3>

x=√3、y=√2、z=1のとき

u=6+i√(359/27)

m=1/3・{³√3(54+I√1077)+³√3(54-i√1077)}

 =3.7664354838…

a=2.0154433965…

b=2.36495626322…

c=2.86112499796438…

 

[例題3]

△ABCで

内接円の半径 r=√10/4

外接円の半径 R=4√10/5

三辺の長さの和の半分 s=9√6/4

のとき、この三角形の三辺の長さを求めよ。

 

[解]

(38)より

xyz=4Rr²=2√10

(39)より

m=4Rr=8

 

(43)より

8³-8(x²y²+y²z²+z²x²)-2(2√10)²=0

x²y²+y²z²+z²x²=54

解と係数の関係より、x²、y²、z²を解とする方程式は

X³-AX²+54X-40=0…(a) (ただし A=x²+y²+z² )

(37) m=bc-x²=ac-y²=ba-z²より

x²=bc-8、y²=ac-8、z²=ba-8 は、(a)の解

 

 

a、b、cを解とする方程式は、(36)よりabc=msより

Y³-2sY²+(24+A)Y-8s=0…(b)

x²=Z-8 を(a)に代入して(Z=bc、または、ac または ba)

(Z-8)³-A(Z-8)²+54(Z-8)-40=0…(c)

この式の0次の項を(b)と比べて

(8s)²=984+64A

s=9√6/4より

A=15

したがって

x²、y²、z²を解にもつ方程式は

X³-15X²+54X-40=0

これを解いて

X=1、4、10

x=1、2、√10

 

または、(b)より、a、b、cを解にもつ方程式は

Y³-9√6/2Y²+39Y-18√6=0

Y=√6、3√6/2、2√6

 

または、(c)より

Z³-39Z²+486Z-1944=0

(Z-9)(Z-12)(Z-18)=0

Z=9、12、18

a²b²c²=9・12・18=3⁵・2³、abc=18√6

a=abc/bc=18√6/9=2√6、b=abc/ac=18√6/12=3√6/2、c=abc/ab=18√6/18=√6

 

同様にして一般化すると

 

[定理14]

x²、y²、z²を解に持つ方程式は

 X³-(s²-2m+r²)+m(m-2r²)X-m²r²=0…(49)

 

a、b、cを解にもつ方程式は

 Y³-2sY²+(s²+m+r²)Y-ms=0…(50)

 

ab、bc、caを解にもつ方程式は

 Z³-(s²+m+r²)Z²+2ms²Z-m²s²=0…(51)

 

解と係数の関係より

 x²+y²+z²=s²-2m+r²…(52)

 ab+bc+ca=s²+m+r²…(53)

[例題4]

△ABCで

内接円の半径 r=√6/2

外接円の半径 R=35√6/24

三辺の和の半分    s=8

三角形の三辺の長さを求めよ

 

[解]

m=35/2

(25)より

Y³-16Y²+83Y-140=0

Y=4、5、7

[例題5]

△ABCで

三辺の長さの和の半分 s=10

三辺の長さの積   abc=280

内接円の半径    r=√3

三角形の三辺の長さを求めよ

 

[解]

m=28

(25)より

Y³-20Y²+131Y-280=0

Y=5、7、8 

[例題6]

△ABCの内接円の半径r、外接円の半径Rが

一定であるとき、積AI・BI・CIは一定であ

ることを、次の図を使って証明せよ。

 

[解]

AI=x、BI=y、CI=z、DI=x’、EI=y’、FI=z’とする。

BD=CD=DI=x’からトレミーの定理より

cx’+bx’=a(x+x’)

ax=(b+c-a)x’=2(s-a)x’…(54)

同様に、

by=(a+c-b)y’=2(s-b)y’…(55)

cy=(a+b-c)z’=2(s-c)z’…(56)

よって

xyz=8(s-a)(s-b)(s-c)x’y’z’/abc…(57)

ヘロンの公式とabc=4Rsr…(58)より

x²y²z²=16R²r⁴

xyz=4Rr²

 

また

x’y’z’=2R²r…(59)

(s-a)(s-b)(s-c)/abc=r/4R…(60)

 

ところで

(s-a)(s-b)(s-c)=sr²…(61)

(s-a)(s-b)+(s-b)(s-c)+(s-c)(s-a)=(ab+bc+ac)-(a²+b²+c²)/4=m+r²…(62)

(s-a)+(s-b)+(s-c)=s

 

(s-a)、(s-b)、(s-c)を解とする方程式は、

W³-sW²+4(m+r²)W-sr²=0…(63)

 

(30)(31(32)より

x²a、y²b、z²cを解とする方程式は

V³-msV²+4m²(m+r²)V-sr²m³=0…(64)

 

[例題7]

△ABCでIは内心、Oは外心

r=√10/4、R=4√10/5

のとき、

s(または面積)の最大値、最小値を求めよ。

 

[解]

オイラーの定理より内心と外心の距離は一定

IO²=R²-2Rr=12/5、IO=2√15/5

極値は、図のように頂点Aが直線IO上にあるとき。

BCとIOの交点をHとする。

OH=IO-r=(8√15-5√10)/20

BH²=BO²-OH²=(135+4√6)/40

BI²=4+√6

AI²={(4√10-2√15)/5}²=(44-16√6)/5

AI²+BI²+CI²=(84-6√6)/5

m=8と(27)より

s²=123/8+6(14-√6)/5

 

同様に最大値は頂点Aが図の真下に来るとき。

s²=123/8+6(14+√6)/5

 

[別解]

ラグランジュの未定乗数法による。

g(x、y)=0の条件下でf(x、y)の極値は

F(x、y、λ)=f(x、y)-λg(x、y)

δF/δx=δF/δy=δF/δλ=0

 

g(x、A)=x³-Ax²+54x-40=0

f(x、A)=A

F(x、A、λ)=A-λ(x³-Ax²+54x-40)

δF/δx=-λ(3x²-2A+54x-40)=0

δF/δA=1+λx²=0

δF/δλ=x³-Ax²+54x-40=0

 

3x²-2Ax+54=0より、A=(3x²+54)/2x

x³-54x+80=(x+8)(x²-8x+10)=0

x=4±√6

A=(84±6√6)/5

 

同様にして一般的に

[定理15]   外接円の半径R、内接円の半径rとする三角形のs²の最大値、最小値は

 

s²=(m²+20mr²-8r⁴±(m-8r²)√(m²-8mr²))/8r²…(65)

または

s²=2R²+10Rr-r²±2(R-2r)√(R(R-2r))…(66)

  

次に、s²はAI²=x²について、単調増加であることを示す。

 

x²y²z²²=m²r²より、y²z²=m²r²/x²

x²y²+y²z+z²x²=x²(y²+z²)+y²z²=x²(y²+z²)+m²r²/x²

m³-(x²y²+y²z+z²x²)m-2x²y²z²=0より、

x²y²+y²z+z²x²=m²-2mr²

よって、

x²(y²+z²)+m²r²/x²=m²-2mr²

y²+z²=m²/x²-2mr²/x²-m²r²/x⁴

x²+y²+z²=x²+m²/x²-2mr²/x²-m²r²/x⁴=s²-2m+r²

よって

s²=x²+(m²-2mr²)/x²-m²r²/x⁴+2m-r²…(67)

xで微分して

(s²)’=2x-2(m²-2mr²)/x³+4m²r²/x⁵=2(x²+m)(x⁴-mx²+2mr²)/x⁵

(x⁴-mx²+2mr²)=0の判別式Dは

D=m²-8mr²=m(m-8r²)=4Rr(4Rr-8r²)=16Rr²(R-2r)

R≧2rより、D≧0

よって、s²はx²について単調に増加する。

極値は、x²={m-√(m²-8mr²)}(最大値)、x²={m+√(m²-8mr²)}(最小値)

定義域は、R-√(R²-2Rr)≦x≦R+√(R²-2Rr)

この両端でも最大値、最小値をとる。

 

[例題8]

r=√10/5、R=5√10/8の三角形の三辺の和の範囲を求めよ。

 

[解]

s²=(1593±135)/80

s²の最大値…108/5、最小値…729/40

(a+b+c)²の最大値 432/5…最小値…729/10

 

[定理16]

rを解にもつ方程式は

p=x²y²+y²z²+z²x²、q=x²y²z²とすると(38)(39)(52)からm、Rを消去して

 

 2qr³+pr²-q=0…(68)

 

 a=√(y²-r²)+√(z²-r²)…(69)

 b=√(x²-r²)+√(z²-r²)…(70)

 c=√(x²-r²)+√(y²-r²)…(71)

 

Rを解にもつ方程式は、(38)(39)(52)からm、rを消去して

 

16q²R³-8pqR²+p²R-q³=0…(72)

 

解と係数の関係より

√(x²-r²)√(y²-r²)√(z²-r²)=sr²…(73)

√(x²-r²)√(y²-r²)+√(y²-r²)√(z²-r²)+√(x²-r²)√(z²-r²)=4(s²+m+r²)…(74)

 

(50)より

a+b+c=abcとなるのは、2s=ms

よって、m=2、すなわち、Rr=1/2

(41)より

s²=(2+20r²-4r⁴±2(1-4r²)√(1-4r²))/4r²

 

[定理17]

 △ABCで、Rr=1/2のとき、

 a+b+c=abc…(75)

 [例]

a+b+c=abc の三角形

s²=8 のとき、r=√(5√5-11)

(50)より

Y³-4√2Y²+(5√5-11)Y-4√2=0

解 (1+√5)/√2(重根)、√2(3-√5)

 

 

(35)(36)と

x’²y’²+y’²z’²+z’²x’²=R²r²(x²+y²+z²)=R²r²(s²-2m+r²)=m²(s²-2m+r²)/16

よって

x’²、y’²、z’² を解とする方程式は

U³-2R(2R-r)U²+R²r²(s²-8Rr+r²)U-4R⁴r²=0…(76)

 

[例題10]

△ABCの内心をIとします。

 辺BC上に2点P、Qがあり

 ∠BIP=∠CIQ=90°

 BQ=x、QP=y、PC=z のとき、

 次の式を証明してください。

AB:BC:CA=(x+y):(z+x):(y+z)

 

[解]

BQ=y²/c=y²b/bc

QP=x²a/bc

PC=z²/b=z²c/bc

BQ:QP:PC=y²b:x²a:z²c

(21)(22)より

AB:BC:CA=(x+y):(z+x):(y+z)

 

[別解]

BC上に点M、NをAB//IM、AC//INをとる。

IB=BM=MP、IC=CN=NQ

△ABC∽△IMNより

AB:BC:CA=IM:MN:NI=BP:CQ:(BQ+PC)

[例題11]

△ABCでIは内心。

AI⊥DE、

DE=4、BI=3、CI=4のとき

BC、AB、ACの長さを求めよ。

 

[解]

IE=BI・CI/BC より、a=6

(37)より、m=6c-9=6b-16、b=7/6+c…(1)

 

(7)(8)(9)より

20x²=9(b²-16)

16(c²-9)=27x²

9(b²-x²)=16(c²-x²)

これらよりx²を消去して、

9/20(b²-16)=16/27(c²-9)…(2)

(1)(2)より

b=232/33、c=129/22

[例題12]

△ABCでIは内心

DE⊥AI、FG⊥BI、HK⊥CI

AD=3、BF=4、CH=5のとき、

AB、BC、CAを求めよ。

 

[解]

BC:CA:AB=1/3:1/4:1/5

=20:15:12

 

三辺が20、15、12の三角形のAD、FG、HKに対応する長さを求める。

この三角形の内接円の半径は、r=1/2・√((7*17*23)/47)

 

[別解]

(24)(36)より

20AD=m=abc/s=20・15・12・2/(20+15+12)

AD=360/47

比で求める。

 

BC=47/6、CA=47/8、AB=47/10

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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